第11回 アスキー編集部が「Backlog」で仕事を楽しくしてみた
Backlogの「マイルストーン」を使って「大幅な進捗遅れ」も「タスク登録漏れ」も防ごう
ずるずると遅れがちな長期プロジェクト、どう進行を管理すれば防げる?
提供: ヌーラボ
皆さまこんにちは。アスキー編集部で働く、編集者の大塚と申します。少し前からBacklogを使った仕事のプロジェクト・タスク管理に挑戦しております(連載:アスキー編集部が「Backlog」で仕事を楽しくしてみた)。
さて、仕事の中で発生するプロジェクトには、数か月~数年といった長期間に渡るものもあります。筆者も、ときには数か月にわたるようなプロジェクトに携わることがあります。
一般に、長期になればなるほど、プロジェクト・タスク管理は大変になるのではないでしょうか。まず、大量に発生するタスクの整理と漏れのない進捗管理が必要ですし、関わるチームメンバーも増えるためスケジュールに対する意識合わせも求められます。ゴールまで時間があるため、気のゆるみからついタスク処理を“先延ばし”にして、プロジェクトの遅延を招くのも防がなければなりません(夏休みの最終日まで宿題を先延ばしにしていた自分を思い出します……)。
「そういうのもBacklogにおまかせよ!」と言いたいところですが、これまでやってきたシンプルな管理方法だけでは、何かトラブルが起きかねないように思います。「長期プロジェクトを着実に進める」ためには、何に気をつけて、どうすればいいのか。さあ、やってみましょう!
長期プロジェクトをフェーズで区切る「マイルストーン」のメリットとは
今回は「2か月先に開催するセミナーイベントの準備」をサンプルに考えてみます。「2か月」と言うと、あまり長期には感じないかもしれませんが、ほかの業務もこなしながらの準備ですから“先延ばし”が起きやすく、なおかつ遅れを取り戻す日程の余裕はないので、しっかり進行管理をしなければならない――。そんな2か月間です。
セミナーの準備では、さまざまなタスク(課題)が発生します。セミナー内容の企画、講師の依頼、講演資料の作成といったセミナー本体に関わるタスクだけでなく、開催告知や参加申込みの受付といった集客関連のタスク、会場の手配から物品搬入、設営、当日スタッフの管理といった運営周りのタスクなどもあります。さらにセミナー修了後にも、参加者リストの整理、参加お礼メールの送付といったタスクが発生するはずです。
まず難しいのは、こうした幅広いタスクを実行すべきタイミングがバラバラで、タスクどうしの依存関係もあるため、混乱しやすいところです。たとえば「早く参加申込みの受付を始めないと!」と焦ったところで、その前にセミナーの日程や会場、内容、講師などが決まってなければ始められません。タスクを思いつくままに進めようとしても、それは無理なのです。
また、たくさんのタスクがありますから、複数のメンバーで手分けして進めていく必要がありますが、たいていはメンバー間でスケジュールの捉え方もバラバラになりがちです。「まだ1か月ある」とのんびり構える人と「もう1か月しかない!」と焦る人が同じチームにいたら、タスクの進め方を巡って衝突し、お互いにストレスを抱えることになるでしょう。みんな仲良く……。
それでは、バラバラのタスクをどう整理すればいいのか。Backlogには「マイルストーン」という考え方(機能)が用意されています。このマイルストーンを活用すれば、長期プロジェクトのタスクがグッと整理・管理しやすくなります。
マイルストーンは、1つのプロジェクトの開始から終了までを、いくつかの期間=「フェーズ」に区切るものです。そのうえで、発生する細かなタスク(課題)を「どのフェーズで実行するのか」でグループ化することで、タスクを整理して見通しを良くするのです。
■マイルストーンで、プロジェクトの節目を明確にしよう(Backlogヘルプセンター)
長期プロジェクトをマイルストーンで区切るのはとても簡単
さっそくマイルストーンを使ってみましょう。今回は「セミナーの準備」という2か月間のプロジェクトを、ざっくり5つのフェーズに区切りました。各フェーズで実行すべきタスクは、次のように整理しています。各フェーズのタスクは、複数メンバーで分担して進めるイメージですね。
・企画フェーズ:開催テーマや日程、講師候補などを決定
・手配フェーズ:会場や講師の手配(確定)など
・開催準備フェーズ:講演内容、配付資料などの準備
・前日/当日フェーズ:会場設営、当日運営
・開催後フェーズ:お礼メールの送付など
まず、このマイルストーンをBacklogに設定します。マイルストーンはプロジェクトにひも付くものなので、プロジェクト(今回はセミナー準備のプロジェクト)を開き、左メニューの「プロジェクト設定」>「発生バージョン/マイルストーン」と進んで、一覧画面で「発生バージョン/マイルストーンの追加」ボタンをクリックすれば設定画面が表示されます。
マイルストーンの設定は、「マイルストーン名」と「開始日」「終了日」を入力するだけです(必要に応じて「詳細」説明も)。マイルストーン名に番号(連番)や簡単な説明を付ければ、ほかのメンバーにも分かりやすいでしょう。また、マイルストーンはあくまでも進捗を確認するための「目安」なので、開始日/終了日はそのフェーズのタスク量を考えつつ“ざっくり”決めればよいと思います(必要に応じて後から変更もできます)。
多数の課題(タスク)を各マイルストーンにひも付けて管理する
マイルストーンが設定できたので、マイルストーンにひも付けるかたちで課題を登録していきます。
課題は、いつものとおり「課題の追加」から登録します。このとき、「マイルストーン」のプルダウンメニューから、このタスクをどのマイルストーン(フェーズ)で実施するのかを指定するだけです。簡単ですね。
なお、課題の「開始日」や「期限日」は、マイルストーンとは独立して自由に設定できます。長期間かかる課題ならば、期限日がマイルストーンの終了日を超えることもありますが、あまり気にしないでよいと思います。また、前回ご紹介したガントチャートに反映されますので、課題の「開始日」「期限日」は必ず設定しましょう。
課題をマイルストーンにひも付けると、「課題一覧」画面でマイルストーンごとの絞り込み表示ができるようになります。そのため、プロジェクト全体でたくさんの課題が発生しても、「ひとまず、今はこれをやればいいんだな」と見通しが良くなります。
同様に、ガントチャートも「グルーピング」でマイルストーンを選択することにより、マイルストーンごとにまとめた表示ができます。こちらも、今後のスケジュールを把握するうえで便利でしょう。
プロジェクト全体の進捗を把握:ダッシュボード、バーンダウンチャート
マイルストーンを利用することで、プロジェクト全体の進捗が把握しやすくなります。
たとえば、プロジェクトのホーム画面(ダッシュボード)には、各マイルストーンに設定された課題の進捗がシンプルに表示されます。マイルストーン終了日が近づいているのに「未対応」が多いのであれば、どんな課題がやり残されているのかを確認して、担当者に状況を報告してもらう、場合によっては担当者を別のメンバーに変更する、といった対応が必要です。
もうひとつ、マイルストーンを設定すると、ホーム画面に「バーンダウンチャート」も表示されます。
これは、現在のマイルストーンに含まれるたくさんの課題が、順調に消化できているかどうかを可視化するグラフです。グラフの縦軸は「残りの課題件数」、横軸は「マイルストーン終了日までの時間経過」を示します。
各課題に設定された期限日に基づく計画上のスケジュールは、オレンジ色の「計画線」で示されます。そして、実際の進捗は緑色の「実績線」です。つまり、終了日(右端)に向けて順調に緑線が下っていき、残り課題が「0件」になればよいわけです(グレーの「理想線」に沿って進捗するのが理想的です)。
このバーンダウンチャートは、いろいろな見方ができます。たとえばフェーズの進行中、オレンジ線(計画線)よりも緑線(実績線)が“上”を通っていたら、一目で「当初の計画よりも進捗が遅れている」と分かります。
また、計画線が終了日付近までずっと高いままで、一気に下がるようなスケジュール(つまり終了日間際に一気に課題を片付ける計画)ならば、リスキーなので見直したほうがよいかもしれません。その反対に、計画線が理想線よりもかなり下を通っているのであれば、もう少し各課題の期限日に余裕を持たせたスケジュールでもよい、と考えられます。こうした判断が一目でできるのは便利ですね。
■バーンダウンチャートの概要(Backlogヘルプセンター)
* * *
長期にわたるプロジェクトでは、マイルストーンを進行途中の“チェックポイント”として、進捗に遅れが出ていないかを確認することができます。プロジェクトの最終盤になって進捗遅れが判明する、“夏休みの最終日”のような恐ろしい事態が防げるでしょう。
また前回も触れましたが、長期プロジェクトでは「最初の段階では大まかな流れしか分からない」こともあると思います。先の先のフェーズまで細かな課題を設定しなくても、まずは大まかなタスク(親課題)を入れておき、プロジェクトの進行に合わせて詳細(子課題)を詰めていく、という方法も良いでしょう。
もうひとつ、マイルストーンはBacklog上の情報(課題)整理に便利ですが、フェーズを区切ることで頭の中も整理しやすくなると感じました。長期プロジェクト全体でなく、具体的なフェーズに区切ってやるべきタスクを考えることで、「タスクの登録漏れ」も減らせるのではないでしょうか。
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