総務省は、2025年7月8日、2025年版(令和7年版)の「情報通信白書」を公表した。その中で、デジタル分野における海外事業者の台頭についてもまとめている。
白書では、財務省の「国際収支統計」に基づく「デジタル関連サービス」収支の推移を取り上げている。それによると、「コンピュータサービス(クラウドサービスの使用量など)」「著作権等使用料(動画・音楽配信に伴う各種ライセンス料など)」「専門・経営コンサルティングサービス(インターネット広告の売買代金など)」における国際収支赤字額、いわゆる「デジタル赤字」は、2024年には約6.7兆円に達している。前年比で約0.9兆円の赤字額増加となり、過去最大を更新した。
デジタル赤字に含まれることもある「通信サービス」「情報サービス」まで加えると、赤字額は約6.8兆円に達する。
各分野のデジタル赤字額を10年前(2014年)と比較すると、「著作権等使用料」は約2.1倍、「コンピュータサービス」は約3.3倍、「専門・経営コンサルティングサービス」は約5.4倍に膨らんでいる。
一方、海外のデジタルプラットフォーム事業者を含むビッグテック企業は、新たなデジタル社会基盤であるSNSやクラウドサービスなどにおいて、存在感を示している。これらの海外事業者の台頭の背景には、利用者が増えるほどサービスの価値が高まる「ネットワーク効果」、「低い限界費用」とそれに伴う「規模の経済性」、利用者が使い慣れたサービスから乗り換えることが難しい「ロックイン効果」など、デジタル市場で発現しやすい様々な特性があるという。加えて、収集したデータや莫大な収益によって急成長している状況だ。
デジタル分野における日本企業のシェアも、全般に低い状況だ。日本のIaaS・PaaS市場では、Amazon Web Services、Microsoft、Googleの3社がシェアを大きく拡大。また、定額制動画配信市場でも、2024年は「Netflix」のシェアが最も高く(21.5%)、海外企業の合計シェアは50%を超えている。
グローバルデジタル市場における、日本企業の売上高ベースのシェア(2023年)をカテゴリーごとにみると、半導体や電子部品や家電・OA機器などの一部を除いて、10%前後、またはそれ以下にとどまっていると推測されている。
