ASCII Power Review 第290回
まもなく日本でも発売開始です
PCもスマホもゲーム機も繋ぐだけで眼前に巨大画面:ARグラス最上位モデル「Xreal One Pro」実機レビュー
2025年07月16日 01時00分更新
スマートグラスは私たちの日常風景に溶け込みつつある。電車内でハンズフリーで映画やドラマを鑑賞したり、飛行機や高速列車で広々とした大画面でPC作業に没頭したりと、一度体験すれば利便性と没入感から手放せなくなるデバイスだ。
そんなスマートグラスの最新モデルが7月24日発売になる「XREAL One Pro」(直販価格8万4980円)だ。従来機からFOV(画角)が大幅に拡大され、より広い画面を実現。さらに、最高輝度も向上し、明るい環境でより鮮明な映像を楽しめるようになった。
特筆すべきは、ユーザーのIPD(瞳孔間距離)に合わせて、MサイズとLサイズの2モデル展開となったこと。これにより、どんな顔の形やサイズの方でも、最適な視覚体験を得られるようになっている。
今回は、まさに「デカ顔」の筆者が、Lサイズの「XREAL One Pro」を借用したので、徹底レビューでお届けしよう。
画角が50度から57度へと拡大
瞳孔間距離に合わせて2サイズを用意
「XREAL One Pro」(以下One Pro)は、単体での3DoF表示に対応した「XREAL One」(直販価格6万9980円、以下One)の上位モデルだ。
空間コンピューティングの処理を行なう独自開発の「XREAL X1チップ」を継承しつつ、新たな光学エンジン「X Prism」を採用しているのが最大の違い。
Oneの画角は50度だったが、One Proは57度に拡大。また従来の光学エンジン「Birdbath」と比較して44%軽量化され、奥行きが薄くなり、下方からの光の侵入も低減されている。

右のツル下部にはXボタンがありシングルクリックではディスプレーモードの切り替え、ダブルクリックで設定メニューを開く。+/-ボタンはデフォルトではディスプレーの明るさを変更。設定メニューの項目移動にも使用する。
ディスプレーパネルはソニー製0.68インチ マイクロOLEDから、同じくソニー製の次世代0.55インチマイクロOLEDに変更。解像度は400万ピクセル、1080p(片目あたり1920×1080ドット)、リフレッシュレートは120Hzと変更はないが、最高輝度が600ニトから700ニトへと引き上げられている。
サングラスの濃度を調整する「3段階エレクトロクロミック調光」、ΔE<3を実現した高精度な色再現、Boseが監修した空間サウンドシステム「Spatial Sound Field 3.0」はOneを継承。製品公式サイトに記載はないが、発表会では「One ProはOneより若干音質がよくなっている」と語られた。
画角拡大と同じぐらい大きな変更点が、瞳孔間距離に合わせて、MサイズとLサイズの2種類が用意されたことだ。
Mサイズが57~66mm、Lサイズが66~75mmの瞳孔間距離をカバーする。Oneでもソフトウェア方式により調整できたが、IPDを広げると画面サイズが小さくなるというデメリットがあった。瞳孔間距離に合わせてサイズを選べるのは、大きなアドバンテージだ。
本体サイズは151.6×52.0×51.0mm、重量は約87g。同梱物は本体、着脱式フレーム、ノーズパッド(S/M/L)、クリーニングクロス、USB Type-Cケーブル、ハードケース、説明書、保証案内、専用レンズフレーム。視力矯正用に同梱されている専用レンズフレームのレンズ作成、取り付けは「JUN GINZA」が推奨されている。
OneとOne Proの比較
瞳孔間距離のLサイズは効果テキメンだ
One Pro最大の進化点は画角の広さ。前述のとおり、Oneが50度のところ、One Proは57度に拡大。表示面積としては38%広がっているとのことだ。しかし、数値では正直ピンと来ない。そこで、「15インチMacBook Air」の画面と比べて、OneとOne Proの画面がどのくらいの大きさに見えるのか、参考画像を作成してみた。
参考画像の作成にあたっては、「15インチMacBook Air」のディスプレーを目から約70cmの位置に設置し、同じ位置でのOneとOne Proの画面サイズを記録。それに合わせて、Macの画面のスクリーンショットを合成している。多少の誤差はあるが、実際の画角をイメージする参考となるはずだ。
下記のアニメーションGIFを見ていただければわかるとおり、画面サイズの差は明らか。「15インチMacBook Air」を基準にすると、Oneでは24インチぐらい、One Proでは28インチぐらいのサイズで見える。画角の差だけで、OneからOne Proに買い替える必要はないかもしれない。しかし、これから購入するのであればOne Proのほうがやはり魅力的だ。
現在筆者はOneを所有している。OneからOne Proへの買い換えを前向きに検討している理由が、瞳孔間距離に合わせてMサイズとLサイズが用意されていること。実はOneではIPDを調整しても小さな文字がかすれていたのだが、今回LサイズのOne Proを使用してみたら小さな文字もクッキリと見えたのだ。
つまりデカ頭の筆者には、Oneの瞳孔間距離が合っていなかったとことになる。同じようにOneでぼやけて見えていた方は、ぜひ家電量販店などでOne ProのLサイズを試してほしい。
最後に、One、One Proでどのようなことができるのかおさらいしておこう。両製品はUSB Type-C(DP Alt Mode)を搭載するPC、スマホ、タブレット、ゲーム機で利用可能。
独自に設定ユーティリティーが搭載されているので、それぞれのデバイスにアプリをインストールする必要はない。ファームウェアをアップデートする際には、Windows、Mac搭載機に接続し、ブラウザーからアップデートを実行する。
One、One ProはUSB Type-C(DP Alt Mode)を搭載するPC、スマホ、タブレット、ゲーム機で使用可能。ちなみにNintendo Switchは「XREAL Hub」などを経由すれば利用できるが、有機ELモデルや「Nintendo Switch 2」は現時点では対応していない。ただし今後発売予定の「XREAL Neo」を経由すれば、Nintendo Switch 2とも接続可能となる
One、One Proはどちらも単体で3DoFに対応しているが、「XREAL Eye」(直販価格1万3980円)を装着すれば、6DoFで利用可能となる。具体的には、「空間スクリーン」の設定に「空間アンカー」が追加され、装着者が移動しても画面がそのまま留まり続ける。もちろんこの設定はオンオフ可能だ。
また、自分で見ている光景を一人称視点で撮影可能。写真だけでなく、動画を最長60秒まで、1600×1200ドット/60fpsで撮影できる。
ただしカメラとしてのスペックは1200万画素、F2.25で、実際に撮影してみたところややノイズが多めであった。XREAL Eyeは6DoF空間コンピューティングのための補助デバイスと考えたほうがよさそうだ。

この連載の記事
- 第289回 ビジネスマンの絶大な味方Let'sの新モデルは12.4型で919g=「レッツノート SC」実機レビュー
- 第288回 14万円台で最新AI機能がカンタンに使える爆速スマホ「Zenfone 12 Ultra」実機レビュー
- 第287回 写真好きに人気沸騰のフィルムカメラ型デジカメ=富士フイルム「X half」実写レビュー
- 第286回 超クールデザインで爆速のゲーミングノート「Alienware 16 Area-51」実機レビュー
- 第285回 未来型キャッシュ「AMD 3D V-Cache」搭載の爆速CPU「Ryzen 9 9955HX3D」を計った!!= 「ROG Strix G16」実機レビュー
- 第284回 25万円で買える16型薄型軽量モバイルゲーミングCopilot+PC=「AERO X16」実機レビュー
- 第283回 AIが補完する超絶ズームカメラが凄かった!!=「Xiaomi 15 Ultra」実機レビュー
- 第282回 独自AIチップが速度を上げてくれるLenovoのゲーミングノートPC「Legion Pro 7i Gen 10」実機レビュー
- 第281回 ついに発売開始の未来型カメラ「Sigma BF」をプロカメラマンが実写レビュー
- この連載の一覧へ